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DX・IT整備

共有アカウントのやめ方|どれから、何に置き換えるか

辞めた人がいまも入れる。誰がやったか後から分からない。パスワードを変えると全員が止まる。共有アカウントで起きるのはこの3つで、原因はどれも同じです。IDとパスワードを、何人かで共有していること

作業は2つに分かれます。会社あての窓口は、アカウントを共有せずに何人かで受ける仕組みへ移します。Google Workspace と Microsoft 365 なら、この移し替えでライセンスは増えません。数え方はサービスごとに違うので、使っているものの料金の記載を先に見てください。人数分のライセンスが増えるのは、個人の仕事に使っているアカウントを分けるときです。

Google Workspace の販売代理店の立場から書いています。Microsoft 365 を使っている場合の置き換え先も並べました。

01何が共有されているかを、先に数える

洗い出しは、誰かに聞く前に半分ほど自分で行うことができます。管理コンソールと請求書を見るだけで出てくるためです。ここで出てこなかったものが、そのまま社内に聞く対象になります。

見る場所何を見るか出てくるもの
管理コンソールのユーザー一覧人名になっていないアカウント。info、support、admin、会社名など窓口用に作られた、人ではないアカウント
同じ一覧の最終ログイン退職済みの人のアカウントで、日付が新しいもの名義だけ残して使い回されているアカウント
外部サービスの請求書と領収書契約者名と支払い方法。宛先が個人名になっていないか個人名義のまま会社で使っている契約
各サービスの2段階認証の設定確認コードの受け取り先の電話番号とメールアドレス本人しか受け取れない状態になっている入り口
パスワード管理ツールの共有項目誰と共有している設定になっているか共有したまま回収していない認証情報

残りは社内に聞きます。手元にしかないアカウントが出てくるかどうかは、聞き方で決まります。責められる、いま使っているものを止められる。そう受け取られると返事が来ません。どちらでもないことを、文面の最初に書いてください。

そのまま送れる、社内への確認文
社内で使っているアカウントを整理しています。
次の3つに当てはまるものがあれば、返信で教えてください。

1. 自分以外の人とIDとパスワードを共有しているもの
   サービス名と、共有している人数

2. 自分が管理者になっているサービス
   サービス名と、支払い方法

3. ログイン時の確認コードを自分の携帯で受け取っているもの
   サービス名

いま使っているものを止めるためではなく、担当が代わっても
困らない形に置き換えるための確認です。
心当たりがなければ「なし」で構いません。

自分しかログインできないものに印を付ける

洗い出しの途中で「これは自分しかログインできない」というものが出てきたら、そこに印を付けておいてください。あとで置き換え先を決めるときも、消す前の付け替えのときも、同じアカウントが出てきます。

02規約が禁じているのは、パスワードの共有

「1つのアカウントを複数人で使うのは規約違反」とよく言われます。Google Workspace の規約からリンクされている利用規定に、Google Workspace 向けの禁止項目が並んでいて、そこには限定が付いています。

本サービスで提供される委任機能以外の方法で、個々のエンドユーザー アカウントへのアクセス権を複数のユーザーに付与すること。
Google Cloud 利用規定(Google Workspace の項、2025年10月13日更新)2026年8月確認

限定がかかっているのは方法のほうです。禁じられているのは、このサービスが提供する委任機能を使わずにアクセス権を複数人へ渡すことだと読めます。IDとパスワードの共有はその代表例で、認証情報を渡さない形も同じ項目に当たります。トークンやセッションの受け渡し、そのアカウントとしてログインする外部ツールも、委任機能ではありません。除かれるのは、メールの委任のようにサービス側が用意した委任機能だけです。なお同じ規定は、人ではなくビジネス機能に割り当てたアカウントを、ファイル共有のために作ることも禁止項目に挙げています。info@ を1つのアカウントとして作り、そこをファイル置き場にしている形は、こちらに当たると読めます。

これは Google Workspace に限りません。Zoom の規約は、アカウントとホスト権限、ログイン情報の共有を禁じていて、共有の例外は Zoom の書面による事前承認だけです。譲渡や移管のほうには、退職などによる場合と書面による事前承認の2つが例外として置かれています。Microsoft は禁止の書き方ではなく、アクセスする人ごとにライセンスを割り当てる決まりにしたうえで、直近の割り当てから90日以内の付け替えを、不在や機器の故障をしのぐ場合に限っています。

IPAの中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版も、共有IDはなるべく使わないよう勧めています。やむを得ず使う場合は、利用したユーザーを特定できる仕組みを整えて、定めたとおりに運用するように、と続きます。パスワードを共有している形では、そこが満たせません。医療の仕事が入るなら、もっと踏み込んだ書き方になります。厚生労働省の医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第7.0版のシステム運用編は、利用者の識別・認証に用いる情報について、本人しか知り得ない、または持ち得ない状態を保つ必要があるとしています。

03窓口と個人で、置き換え先を分ける

数えたものを、この表のどれかに当てはめます。費用の欄がそのまま、着手の順番になります。ライセンスの数え方はサービスごとに違うので、Google Workspace と Microsoft 365 以外は自分で確かめる欄として見てください。

共有しているもの置き換え先費用
info@ や support@ に届くものを、手分けして返しているグループの共同トレイ。1人が主で補助が付くだけなら委任Google Workspace と Microsoft 365 では増えない
全員が同じ場所を見るために、1つのアカウントにファイルを置いている共有ドライブ、または Microsoft 365 グループ同じく増えない
前任者や代表のアカウントに、何人かがログインして使っている1人1つに分ける人数分のライセンスが増える
外部サービスの1契約に、必要な人がそのつどログインしている招待や権限の機能で渡せるか確認する。渡せないなら契約を分けるサービスによる。要確認

件数がいちばん多いのは、たいてい1行目です。ここを人のアカウントと一緒くたにすると、費用の話が実際より大きくなって、そこで止まります。

共有をやめると値上がりするサービスもある

窓口を分担する機能が、上位の料金プランに入っているサービスもあります。閲覧だけの人や、招待した人が席数に数えられるものもあります。移す前に、そのサービスの料金ページで、人を増やしたときに課金対象になるかを確認してください。無料で分担できるのが当たり前ではありません。ここで足踏みするなら、まずメールの窓口だけを先に片付けるほうが進みます。

04どの共有アカウントからやめるか

順番は、そのアカウントを悪用されたときに何が起きるかで決めます。書き出したアカウントを1つずつ見て、次の4つのどれかに当てはまるものは、優先して共有をやめてください。

確かめること当てはまるのはこういうとき
支払いができるかそのアカウントから振込や決済ができる。カードや口座が登録されている
顧客の情報が見えるか顧客の名前、連絡先、取引の内容にたどり着ける
他の人の権限を変えられるかアカウントを作れる。権限を付け替えられる。全体の設定を変えられる
社外へメールが出るかそのアカウントから取引先へ返信している。送信元が個人名で出ている

どれにも当てはまらないアカウントは、あとに回して構いません。4つとも当てはまるものがあれば、そこが最初の1件です。

金銭・顧客情報・管理者権限が絡む記録も権限も絡まない
グループへ。権限は絞る
最優先で分ける
グループへ
1人1つに分ける
会社あての窓口に使っている個人の仕事に使っている
置き換え先と、共有をやめる順番どこに入っても共有アカウントは残らない。違うのは置き換え先と順番

この表より先に来る条件

取引先や監査から操作の記録を求められている場合は、そちらが先です。業種によっては、担当者を特定できる形での記録が契約に入っていることもあります。最終的な線引きは、扱っている情報の範囲を知っている自社側で決めてください。物差しは順番を決めるためのもので、共有をやめるかどうかを決めるものではありません。

05窓口を置き換える。グループか委任へ

どちらも1人1つのアカウントを持ったまま、窓口だけを共同で扱う仕組みです。誰が操作したかも残ります。分かれ目は人数ではありません。会話ごとに担当者を割り当てて、対応状況を追いたいなら共同トレイ。1つの受信トレイをそのまま何人かで開くだけなら、メールの委任です。委任は同時に40人まで、登録は1,000人までなので、人数で困る場面はほとんどありません。

やることGoogle WorkspaceMicrosoft 365
会社あての窓口を何人かで受けるグループの共同トレイ共有メールボックス(公式のサポート上限は25人)
1人の受信トレイを補助の人が開くメールの委任Outlook の代理人アクセス(本人のメールボックスに代理人を指定する)
同じ案内を全員に配るグループ配布グループ
ファイルを全員が同じ場所で見る共有ドライブMicrosoft 365 グループ
26人以上で窓口を受けるグループの共同トレイMicrosoft 365 グループ(公式が共有メールボックスの代わりに挙げている)

手順は Google Workspace で書きます。Microsoft 365 の場合は、この節の最後にまとめました。

Google Workspace:共同トレイに移す

  • 仮のアドレスでグループを作る(info-desk@ など)。窓口と同じアドレスはまだ使えない。同じアドレスをユーザーとグループが同時に持つことはできない
  • グループの会話の履歴をオンにする。これを入れないと共同トレイが使えない
  • 共同トレイを有効にする。操作できるのはグループのオーナーとマネージャー
  • 受ける人をメンバーに入れる。担当の割り当てと完了のマークには「メタデータを管理できるユーザー」、対応不要と重複のマークには「コンテンツを管理できるユーザー」の権限が要る
  • 共有アカウントから仮のアドレスへ転送し、数日流して取りこぼしを見る
  • 過去のメールも渡すなら、データ移行サービスで移す。移るのはメールとラベルだけで、連絡先とカレンダーとDriveは移らない
  • 共有アカウントの名前を変える(info@ → info-old@)。リネームすると旧アドレスがメールエイリアスとして自動で残るので、そのエイリアスを削除する。反映に最長24時間かかる
  • グループに info@ をエイリアスとして足す。1グループあたり30個まで。届くのを確認してから、共有アカウントを削除する

会話ごとに担当者を割り当てられ、完了、対応不要、重複としてマークもできます。重複としてマークすると、その会話はロックされて操作できなくなる点だけ先に知っておいてください。

Google Workspace:メールの委任に移す

メールの委任では、代理人が自分のアカウントのまま、相手の受信トレイを読む、送る、削除するができます。1つのアカウントに指定できる代理人は1,000人までで、同時に開けるのは通常の使い方で40人までとされています。送ったメールに代理人のアドレスを出すか、オーナーだけを出すかは管理者が選べます。監査ログにも、操作した代理人のアドレスが残ります。

  • 管理コンソールで「ドメインの他のユーザーにメールボックスへのアクセスを委任できるようにする」をオンにする。既定はオフで、反映に最長24時間かかる
  • 委任元の受信トレイにサインインし、Gmail の設定から代理人を追加する。指名するのは管理者ではなく、そのメールボックスの持ち主
  • 委任できるのは同じ組織内のユーザーだけ。社外の人には渡せない

共有アカウントを委任元にするなら、グループのほうが筋がよい

代理人を指名するのは、そのメールボックスの持ち主です。委任元が共有アカウントだと、指名のために1回はそのアカウントへサインインすることになり、パスワードを共有した状態が一度だけ必要になります。共有をやめる作業としては据わりが悪いので、窓口の置き換えはグループの共同トレイを先に検討してください。メールの委任が向くのは、持ち主がはっきりしている受信トレイを、補助の人にも開けるようにする場面です。

代理人が使えない機能は公式に一覧になっているので、渡す前に見ておいてください。パソコン版で使えないのが次の14項目で、モバイルではさらに9項目が外れます。代理人はパスワードを変更できない、とも別に書かれています。

  • Gemini in Gmail、スマート作成、スマート リプライ
  • Gmail での Chat、Gmail での Meet
  • Google アカウントの設定へのアクセス
  • ドライブへの添付ファイルの追加、Google フォトへの写真や動画の追加、ToDo リストへの追加
  • 絵文字のリアクション、クライアントサイド暗号化
  • オートコンプリート、自動修正、スペルと文法のチェック

Google Workspace:共有ドライブに移す

共有アカウントにデータを置いている理由が「全員が同じ場所を見るため」なら、共有ドライブで置き換えられます。Business Starter でも2024年9月23日から段階的に、既定で使えるようになりました。それ以前に書かれた解説は、非対応のままになっていることがあります。共有ドライブのファイルは組織が所有者なので、メンバーが抜けても残ったままです。ただし公式の発表には、Business Starter の共有ドライブには一部の管理者向けの制御が含まれないとあります。共有ドライブ内の項目へのアクセスを制御する機能もその1つで、管理者が既定値を設定することもできません。

Microsoft 365 の共有メールボックスも、箱そのものにライセンスは要りません。ただしライセンスを割り当てずに置けるのは50GBまでで、100GBにするには Exchange Online プラン2 が必要と書かれています。開く人にはそれぞれライセンス付きのメールボックスが要ります(2026年8月確認)。共有メールボックスは、パスワードを共有して開くものではありません。使う人はそれぞれ自分のアカウントでログインして、そこから共有メールボックスを開きます。

06人のアカウントを分ける。費用が増えるのはここ

窓口が片付くと、残った「人のアカウント」の数がはっきりします。そこで初めて、増える費用が計算できます。手順は4つです。

  • 外側を先に付け替える(次の節の4つ)。これを飛ばすと、消した後に確認コードが受け取れなくなる
  • 使う人の分だけライセンスを足して、1人1つのアカウントを作る
  • 旧アカウントのメールとファイルを移す。Driveのファイルは持ち主を変える
  • 旧アカウントを削除する。停止(サスペンド)では課金が続くうえ、そのアカウント宛の新着メールとカレンダーの招待がブロックされる。データを残す必要があるならアーカイブ ユーザーへ切り替える

2026年8月時点の公式の料金ページに載っている単価は、年間プランのものです。Business Starter が1ユーザーあたり月800円、Business Standard が1,600円、Business Plus が2,500円。管理者ヘルプのプランの比較には、フレキシブルプランの単価が950円、1,900円、3,000円と並んでいて、脚注に「消費税 10% は含まれません(価格に加算されます)」とあります。単価はすべて税別です。

回していたアカウントを5人に分けると年間プランフレキシブルプラン
5ライセンスの月額(税別)4,000円4,750円
消費税10%を加えた月額4,400円5,225円
いま払っている1つ分を引いた増分(税別)3,200円3,800円
契約の途中でライセンスを減らせるか更新時のみいつでも

増えるのは4ライセンス分です。共有アカウントの1つ分は、いまも払っているためです。年間プランは、契約の途中でライセンスを減らせません。公式の比較には、更新のときまでは購入したライセンス全数を支払うと書かれています。人の出入りがある組織ならフレキシブルプランのほうが噛み合いますが、単価は上がります。安いほうの単価で見積もって、減らせないほうの契約を結ぶのがいちばん高くつきます。

窓口のアドレスは、この計算に入りません。Google Workspace の料金FAQには、グループのメールエイリアスはユーザーとして数えられることはないと書かれています。窓口が5つあっても請求は動きません。ただしメールエイリアスは1ユーザーあたり30個までとされているので、窓口を数十作る想定ならグループのほうです。

07消す前に付け替えるもの

時間を食うのは、アカウントの中身ではありません。そのアカウントにぶら下がっている外側です。順番を逆にすると、確認のコードを受け取る先が無くなります。管理者のロールだけは付け替えではありません。ロールを先に外さないと、削除自体が行えません。

  • 管理者のロールが付いたままになっている。付いたままでは削除できない
  • 外部サービスの契約者が、個人のアドレスや、すでに辞めた人のアドレスになっている
  • そのアカウントで外部サービスにログインしている。名義を変えるだけでは済まず、消すとログイン手段そのものが無くなる
  • 2段階認証のコードの受け取り先が、個人の携帯電話番号のまま
  • 支払い方法が、個人名義のカードのまま
  • 復旧用のメールアドレスが、いま誰も開けない場所を指している
  • そのアカウントが、あるグループの唯一のオーナーになっている

辞めた人が入れる状態は、統計にも出ています。国家公安委員会、総務大臣、経済産業大臣が2026年3月に公表した年次の資料に、不正アクセスの手口別の内訳があります。2025年に検挙された不正アクセスのうち、他人のIDとパスワードを使った型は399件でした。その内訳で、IDとパスワードを知り得る立場にあった元従業員や知人などによる犯行は61件です。検挙された件数の内訳なので、被害の全体像とは違います。

消したときの動きは公式に書かれています。Gmailのメールと添付は削除されます。本人が所有していたDriveのファイルとメイン カレンダーは20日間保存されますが、アカウントを復元しない限り開けません。共有ドライブの中のファイルは組織が所有者なので、ここでは消えません。20日を過ぎると、そのアドレスは Google Workspace から外れます。

データを残すなら、アーカイブ ユーザーというライセンスがあります。対象は Business Starter / Standard / Plus、Enterprise Standard / Plus、Education Fundamentals / Standard / Plus です。これは課金対象で、フレキシブルプランならアーカイブした分が自動で割り当たって翌月の請求に乗り、年間プランなら買い足して月額が上がると公式に書かれています。無料で置いておける場所ではありません。開発会社が作ったシステムを引き継ぐ場合の名義の扱いはシステムの引き継ぎに、入退社のたびに回す手順は入退社のIT手続きにまとめてあります。

退職後に届くメールをどこで受けるか

アカウントが残っているうちなら、届いたメールを別のアドレスへ流す設定ができます。消したあとも同じアドレスで受け続けたいときは、方法が2つ。選び方の分かれ目は、渡す権限の量です。

方法受け取り方気をつけるところ
Gmail のデフォルトのルーティングで流すそのアドレス宛のメールを、引き継ぐ人の受信トレイへ届ける設定が管理側に残るので、要らなくなったら1か所で外せる。受信者は1つのアドレスで指定できる。宛先をまとめて1か所へ集める形にすると、打ち間違えた迷惑メールも同じ箱に入る
引き継ぐ人のエイリアスとして足すそのアドレスが、引き継ぐ人のアカウントの一部になる引き継ぐ人が自分で送信元として追加すれば、そのアドレスから送れるようになる

受け取るだけで足りるなら、ルーティングのほうが渡す権限が少なくて済みます。設定するのは管理コンソールの [アプリ] > [Google Workspace] > [Gmail] > [デフォルトのルーティング] です。Gmail の設定には [ルーティング] も別にあり、そちらは組織内にいるユーザー宛が対象なので、削除したアドレスは拾えません。開く先を間違えると、設定したのに届かない状態になります。

  • 一致するエンベロープ受信者で「1 人の受信者」を選び、削除した旧アドレスを入れる
  • オプションで「認識されていないアドレスに対してのみこの操作を実施する」を選ぶ。ここを選ばないと届かない
  • 「エンベロープ受信者を変更」で、引き継ぐ人のアドレスに置き換える
  • 保存してから、外部のアドレスから旧アドレス宛にテスト送信して届くことを確かめる

公式が言う「認識されていないアドレス」には、確認済みドメインのアドレスで Google Workspace のユーザーと関連付けられていないものが含まれます。削除済みのアドレスはここに当たります。1つのアドレスだけを対象にできるので、宛先をまとめて1か所へ集めるキャッチオールとは別の設定です。

メールエイリアスのほうは、そのアドレスから送る必要があるときに限ってください。公式のヘルプには、退職してアカウントを削除した場合に以前のアドレスを現在のユーザーのメールエイリアスとして追加する例が挙げられていて、1ユーザーあたり30個まで追加料金なしとされています。送信元として使うには、引き継ぐ人が自分の Gmail で送信元アドレスを追加し、確認メールのリンクを踏みます。公式には「このタスクはユーザーによって行われるため、管理コンソールには表示されません」とあります。確認メールもエイリアス宛に届くので本人だけで完結し、管理者からは見えません。残るのは辞めた人の名前ではなくアドレスですが、そのアドレスで社外へ送れる状態にはなります。

アーカイブ ユーザーでは受け取れません。アーカイブしたアカウント宛のメールとカレンダーの招待はブロックされる、と公式に書かれています。データを残すことと、そのアドレスで受け続けることは別の話です。両方必要なら、消す前にメールとファイルを引き継ぐ人へ移し、そのうえで消して、受け取りをデフォルトのルーティングで寄せる形になります。この順番だと、アーカイブ ユーザーを買わずに済みます。

1数える
管理コンソールと請求書から。残りは社内に聞く
2置き換え先を決める
支払い・顧客情報・管理者権限・社外への送信の4つで順番も決める
3窓口を移す
共同トレイか委任へ。ここまでライセンスは増えない
4外側を付け替える
管理者ロール・契約者・外部サービスのログイン・2段階認証・支払い方法
5人を分ける
ライセンスを足して、データを移してから止める
61枚に残す
誰が何を持っているかを、入退社のときに見る形で
  • 進める順番
共有アカウントをやめる順番窓口を移すまでは費用が動かない。金額の計算は、人を分けるところから

窓口をグループに移すだけなら、管理コンソールの操作で終わります。外に頼まなくても進められる範囲です。手が要りやすいのは、外部サービスの契約が誰の名義かを洗い出すところと、消す前の付け替えの段取りで、情シスがいない会社のIT運用で挙げた台帳がそのまま材料になります。

08まとめ

  • 最初の作業は数えること。管理コンソールのユーザー一覧、最終ログイン、外部サービスの請求書、2段階認証の受け取り先を見る
  • Google Workspace に適用される利用規定が禁じているのは「委任機能以外の方法で」アクセス権を複数人に与えること。IDとパスワードの共有はその代表例で、認証情報を渡さない形も同じ項目に当たる
  • 片付けるときは削除する。停止(サスペンド)は課金が続くうえ、そのアカウント宛の新着メールがブロックされる
  • 置き換え先は2つ。窓口はグループか委任へ、個人の仕事に使っているものは1人1つに分ける。Google Workspace と Microsoft 365 では、ライセンスが増えるのは後者だけ
  • 優先して共有をやめるのは、支払い・顧客情報・管理者権限・社外への送信のどれかに当てはまるアカウント
  • 消す前に、管理者ロールを外し、外部サービスの名義とログイン、2段階認証の受け取り先、支払い方法、グループのオーナーを付け替える
  • 消したあとに届くメールは、Gmail のデフォルトのルーティングで引き継ぐ人へ寄せる。「認識されていないアドレスに対してのみ」を選ばないと届かない。メールエイリアスにすると、本人の設定次第でそのアドレスから送れるようになる

当社は Google Workspace の販売代理店で、受託開発と運用保守も提供しています。いまのアカウントと契約の棚卸しだけを切り分けてお引き受けすることもできます。どの共有アカウントからやめるかの相談だけでも構いません。必要でしたらお問い合わせからお声がけください。

09よくある質問

Q. 全部を1人1つに分けないといけませんか

置き換え先が2つあります。個人の仕事に使っているものは1人1つに分けます。会社あての窓口は、グループの共同トレイか委任に移します。Google Workspace ならこちらでライセンスは増えず、それでも誰が操作したかは残ります。どちらを通っても、IDとパスワードを共有する形は無くなります。

Q. パスワード管理ツールで共有すれば、問題は無くなりますか

漏れにくくはなりますが、性質は変わりません。管理ツールを使っても、渡す中身はIDとパスワードです。Google Workspace の利用規定にある禁止項目は「委任機能以外の方法で」アクセス権を複数人に与えることを対象にしているので、そこは動きません。操作の記録も、アカウントの持ち主として残るままです。誰がやったかを残すなら、委任か、アカウントを分けるほうになります。

Q. Microsoft 365 を使っています。同じことはできますか

会社あての窓口は共有メールボックスに置き換えます。箱そのものにライセンスは要りませんが、ライセンスを割り当てずに置けるのは50GBまでで、開く人にはそれぞれライセンス付きのメールボックスが必要です。利用できるのは25人までとされていて、それを超えるなら Microsoft 365 グループを使うよう公式に書かれています。開くのは各自のアカウントからです。共有メールボックスは、パスワードを共有して開くものではありません。

Q. 前任者のアカウントを消したら、届いていたメールはどうなりますか

Gmailのメールと添付は削除されます。本人が所有していたDriveのファイルとメイン カレンダーは20日間保存されますが、アカウントを復元しない限り開けません。共有ドライブの中のファイルは組織が所有者なので、ここでは消えません。20日を過ぎるとアドレス自体が Google Workspace から外れます。消す前にやることは3つで、別のアカウントへメールを移す、届いたメールを転送する、Driveのファイルの持ち主を変える。いずれも手順は管理者ヘルプにあります。残す選択肢のアーカイブ ユーザーは課金対象なので、費用と見比べてから決めてください。

TokyoScaler

この記事を書いたチーム

合同会社TokyoScaler ビジネス開発部

Google Cloud Partner(Google Workspace正規代理店)として、中小企業・スタートアップのIT環境整備・DX・AI導入を支援するメンバーが、現場の知見をもとに執筆しています。

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