01「自動メモ生成」で何ができるのか
会議中にオンにしておくと、Geminiが会話の内容を要約した会議メモを自動で作成します。議事録のために参加者の一人がメモ取りに専念したり、会議後に録音を聞き直して清書したりする時間を減らせるのが最大の効果です。
- 会議終了後、メモがGoogle ドキュメントで自動生成される — 概要に加えて、アクションアイテムと担当を一覧化した「次のステップ」も含まれます
- 主催者のドライブに保存され、カレンダーの予定にも添付される — 会議終了後、メモへのリンクを含むメールも届きます
- 遅れて参加しても「ここまでの要約」で追いつける — パソコン版では、会議の途中経過をその場で要約表示できます
- 録画・文字起こしとは別機能 — 出てくるのは逐語の文字起こしではなく「要約」です。必要なら録画・文字起こしと併用もできます
日本語には2025年3月から対応が始まり、2026年7月時点では日本語を含む8言語で利用できます。ただし対応するのは1つの会議につき1言語で、日本語と英語が混在するような会議には対応していません。メモの言語は開始時の画面で選べるほか、設定と異なる言語が30秒以上話されると、言語を切り替えるかどうかの通知が表示されます。
02料金と対応プラン:Business Starterでも使える?
この機能はGoogle Workspaceの全プランで使えるわけではありません。対応プランに含まれていれば追加費用はかかりませんが、対応の線引きがはっきりあります。
| プラン | 自動メモ生成 | 月額(年間プランの場合) |
|---|---|---|
| 個人の無料Googleアカウント | × | — |
| Business Starter | × | 800円/ユーザー |
| Business Standard | ○ | 1,600円/ユーザー |
| Business Plus | ○ | 2,500円/ユーザー |
つまりBusiness Standard以上を契約している会社は、すでに使える状態です(管理者がオフにしていなければ)。逆にBusiness Starterの会社では、Meetの画面に自動メモ生成の項目が表示されません。「Geminiで議事録が作れると聞いたのにうちのMeetにはない」という問い合わせの原因は、ほとんどがこれです。
エディションの正確な線引き
対応しているのはBusiness Standard / Business Plus、Enterprise Standard / Plusなどです。Business Starterで使えるGemini機能はGmailでのAIアシスタントやGeminiアプリの利用など一部にとどまり、Meetの自動メモ生成は含まれません。かつて存在したGemini有料アドオンは2025年1月に販売終了となり、機能は対応プランへの標準搭載に切り替わっています。アドオンの購入が必要と書いている解説記事は、この変更前の古い情報です。
03使い方:3つの始め方と議事録の保存先
① 会議中にオンにする(基本)
Meetの画面右上の「自動メモ生成」アイコンをクリックし、「メモの作成を開始」を選ぶだけです。メモの言語もこの画面で選べます。会議に参加する前の確認画面(参加前画面)からオンにしておくこともできます。開始すると参加者全員に通知され、メモ作成中は全員の画面に鉛筆のアイコンが表示されます。
② カレンダーで事前設定しておく
Googleカレンダーで予定を作成・編集する際、ビデオ通話オプションの「会議の記録」から「Gemini でメモを生成する」にチェックを入れておくと、会議開始時に自動でメモ取りが始まります。定例会議では「この会議の今後のセッションでもオンにする」が標準で選ばれるため、一度設定すれば以降の回にも引き継がれます。
③ 自分が主催する会議ではすべてオンにする
Meetの設定には、自分が主催する会議すべてで自動的にメモ作成を開始する切り替えもあります(2026年1月に追加された設定で、初期状態はオフ)。「オンにし忘れて議事録が残っていない」を防ぎたい人向けです。
生成されたメモは会議主催者のドライブに保存され、カレンダーの予定に添付されます。共有範囲は「すべての招待済みゲスト(組織外のユーザーも含む)」「組織内の招待済みゲスト」「主催者と共同主催者のみ」の3つから主催者側で選べ、初期設定は「組織内の招待済みゲスト」です。通常は社外の相手に自動共有されることはありませんが、一度変更した共有設定は定例会議のシリーズに引き継がれるため、社外との会議では共有範囲を都度確認するのが安全です。
実務でハマりやすい制約
メモの開始・停止ができるのは、会議の主催者と、主催者と同じ組織内の参加者に限られます。取引先が主催するMeetに招待された側では、自社が対応プランでも開始できません。また、想定されているのは15分から8時間までの会議で、15分に満たない会議では要約が生成されないことがあります。組織側でWorkspaceのスマート機能の設定が無効になっている場合も利用できません。
04管理者向け:管理コンソールでの設定場所
「Standardを契約しているのに項目が出ない」という場合は、管理者側の設定を確認します。管理コンソール(admin.google.com)の「アプリ」→「Google Workspace」→「Google Meet」→「Gemini の設定」にある「Google AI によるメモ作成」で、機能の利用可否を組織部門やグループ単位で制御できます。初期設定はオンです。
- 部署単位での出し分けができる — たとえば経営会議や人事など機密性の高い部署だけオフにする、といった制御が可能です
- 録画・文字起こしの自動実行とは設定項目が別 — 会議開始時にメモ・録画・文字起こしを自動で始める設定はそれぞれ独立しており、自動メモだけ許可して録画は制限する運用もできます
- 参加者の同意確認を必須にする設定も展開中 — 録画・文字起こし・自動メモの開始前に参加者の明示的な同意を求める設定(Meetの安全性設定内、初期はオフ)は、2026年5月の展開開始後に一時停止を挟みつつ、7月末から展開が再開されています(8月中旬までに完了見込みとGoogleが告知)。まだ表示されない環境もある点に注意してください
なお2026年7月からは、参加者が3人以上の会議に限って自動メモをオンにする管理者設定も順次提供されています。Googleの発表では、2026年9月21日以降、Business Standard / Plusではこの「3人以上の会議での自動開始」が既定の動作になる予定です。気づいたら勝手にメモが始まっていた、とならないよう、管理者は今のうちに方針を決めておくと安心です。
05Business Starterの会社はプランを上げるべきか
Starterの会社がこの機能のためにBusiness Standardへ上げるべきかは、差額と「一緒に付いてくるもの」で判断するのが実務的です。年間プランの場合、差額は1ユーザーあたり月800円。この差額で自動メモ生成だけでなく、会議の録画・文字起こし、1ユーザーあたり2TBのプールストレージ(Starterは30GB)、ドキュメントなど各アプリのGemini機能もまとめて付いてきます。
比較対象になるのは、外部のAI議事録サービスを別途契約する選択肢です。専用ツールは話者識別などで優位な面もありますが、法人向けプランは1ユーザーあたり月1,000〜3,000円程度が目安で、議事録のためだけにアカウント管理するツールが1つ増えます。すでにGoogle Workspaceで仕事をしている会社なら、プラン差額のほうが安く収まる構図になりやすいです。
注意点として、Google Workspaceはエディションを切り替えると組織内の全ユーザーに同じプランが適用されるため、「会議の多い部門だけStandardにする」といった混在は通常のオンライン契約ではできません(契約を分けるなどの方法はあるため、必要な場合はご相談ください)。会議の頻度が低い会社なら急いで上げる必要はありません。プランごとの機能差は料金プラン比較の記事で詳しく解説しています。
06定着のカギ:社内ルールと取引先への配慮
機能をオンにするだけならすぐ終わりますが、実務で効いてくるのはルールのほうです。特に社外との会議では、無断でAIに記録させていると受け取られないための配慮が要ります。
- 会議の冒頭で一言断る — 「AIで議事メモを取らせてもらいますね」の一言をルール化します。オンにすると参加者全員(外部ゲストを含む)に通知され、画面にアイコンが表示されるため、黙って使っても相手には分かります
- 共有範囲の初期ルールを決める — 社外との会議では「組織内の招待済みゲスト」のまま運用し、先方に渡す場合は内容を確認してから共有します
- AIのメモを議事録の完成品にしない — Googleも、要約が不完全・不正確になったり生成されなかったりする場合があると案内しています。数字や固有名詞などの重要な箇所は、担当者が確認・修正してから確定版とする運用にします
- 機密性の高い会議での扱いを決める — 役員会議や人事評価の会議では使わない、など線引きを決めて、管理コンソール側でも部署単位で制御します
この「ツールの前にルール」という順序は、生成AIの社内導入全般に共通する考え方です。全社のAI活用ルールをこれから作る場合は、あわせて整備するのが効率的です。
07まとめ
- Google Meetの「自動メモ生成」は、Geminiが会議の要約メモをGoogle ドキュメントに自動作成する機能。2025年3月から日本語に対応している
- Business Standard以上なら追加費用なしで使える。Business Starterと個人の無料Googleアカウントでは使えない
- 起動は会議中のアイコン、カレンダーでの事前設定、主催会議での常時オンの3通り
- メモは主催者のドライブに保存され、共有範囲の初期設定は組織内。社外へ自動共有はされないが、社外会議では都度確認が安全
- Starterからの移行判断は「差額月800円で録画・文字起こし・2TB・各アプリのGeminiまで付いてくる」ことを含めて比較する
- 社外会議では冒頭の一言・共有範囲・人による最終確認をルール化してから使う
自動メモ生成を含むGemini機能の有効化設定や、プラン変更の試算は、Google Workspace導入支援でお手伝いしています。「うちのプランで何が使えるのか分からない」という段階のご相談も歓迎です。
08よくある質問
Q. 無料のGoogleアカウントでも使えますか?
使えません。自動メモ生成はGoogle Workspaceの対応プラン(Business Standard以上など)と、個人向け有料プランのうちGoogle AI Pro / Ultra向けの機能です(Google AI Plusは対象外)。無料アカウントではMeetの録画・文字起こしも使えないため、無料で近いことをするなら会議中に取ったメモやテキストをGeminiアプリに読み込ませて整理・要約させる方法になります。ただし無料アカウントは音声アップロードが合計10分までのため、会議の録音をそのまま要約させることはできません。会議内容を会社の管理外のAIサービスに渡すことになる点でも、社内ルールの確認が必要です。
Q. 録画や文字起こしとは何が違うのですか?
録画は映像・音声そのもの、文字起こしは発言の逐語テキスト、自動メモ生成は「要約」です。それぞれ独立した機能で、併用もできます。議事録として使うなら、全文が必要な会議は文字起こし、要点と次のアクションが分かればよい会議は自動メモ、と使い分けるのが現実的です。なお録画・文字起こしもBusiness Standard以上の機能で、Starterでは使えません。
Q. 取引先が主催するMeet会議でも使えますか?
使えません。メモの開始・停止ができるのは会議の主催者と、主催者と同じ組織内の参加者に限られます。外部から招待された会議では、自社がBusiness Standard以上でも開始できません。取引先との定例で議事録を残したい場合は、自社主催で会議を設定するのが確実です。
Q. 生成されたメモはそのまま議事録として使えますか?
たたき台としては十分実用的ですが、そのまま確定版にするのはおすすめしません。Googleも要約が不完全・不正確になる場合があると案内しており、要約である以上、発言のニュアンスや数字が正確に反映されないこともあります。重要な会議ほど、担当者が内容を確認・修正してから共有する運用をルール化してください。
この記事を書いたチーム
合同会社TokyoScaler ビジネス開発部
Google Cloud Partner(Google Workspace正規代理店)として、中小企業・スタートアップのIT環境整備・DX・AI導入を支援するメンバーが、現場の知見をもとに執筆しています。