01Geminiとは?Google Workspaceに標準搭載されたAI
GeminiはGoogleの生成AIです。単体のチャットアプリ(gemini.google.com)としても使えますが、ビジネスで効いてくるのは、Gmailやドキュメントなど普段使っているアプリの中にAIアシスタントとして組み込まれている点です。メールの下書き、長い資料の要約、表計算の関数づくりなどを、アプリを切り替えずにその場で頼めます。
以前はこれらのAI機能を使うのに「Gemini for Google Workspace」という有料アドオン(年間契約で月額換算およそ2,260円/ユーザーだったとされます)の追加契約が必要でした。2025年1月にこのアドオンは販売終了となり、機能はBusiness / Enterprise各プランへの標準搭載に切り替わっています。「Geminiを使うには追加料金が必要」と書いている解説記事は、この変更前の古い情報です。
自社アカウントのデータは学習に使われない
Google Workspaceのアプリ内で使うGeminiは、やり取りした内容が生成AIモデルのトレーニングに使われることはない、とGoogleが公式に説明しています。無料の個人向けAIと会社契約のGeminiで、まず押さえておきたい違いがこの企業向けのデータ保護です。
02アプリ別にできること:中小企業の業務での使いどころ
Gmail:メールの下書き・要約・校正
用件を箇条書きで指示するとメールの下書きを作成、長いスレッドは要点を要約、送信前の文面は校正——と、メール業務の時短に直結します。Gmailの一連のGemini機能は、最安のBusiness Starterでも使えるのが特徴です。
ドキュメント:たたき台の作成・要約・整形
議事録や案内文、社内規程のたたき台をAIに作らせ、人が仕上げる使い方が定着しています。長い文書の要約や、文章のトーン調整もその場で頼めます。
スプレッドシート:関数づくりとデータ整理
「この条件で合計する関数を作って」と日本語で頼めば関数を提案してくれるため、表計算が苦手な人の詰まりどころを解消できます。自然言語で表を組み立て・編集するGeminiのスプレッドシート機能は、2026年6月に日本語に対応しました。
スライド:文章と画像の生成
伝えたい内容を指示するとスライドの文章や、資料に使う画像を生成できます。デザインの下地づくりを任せ、中身の検討に時間を回せます。
Meet:会議の議事録を自動作成
Meetの「自動メモ生成」を使うと、会議の要約とネクストアクションをGoogle ドキュメントに自動でまとめてくれます。設定方法や社内ルールはGoogle Meetで議事録を自動作成する方法で詳しく解説しています。
ドライブ:ファイルの要約と検索
ドライブ内のPDFや文書を開かずに要点を要約したり、内容について質問したりできます。さらに一歩進んで、社内マニュアルや規程をまとめて読み込ませ、出典付きで質問に答えさせたい場合は、NotebookLMの業務活用が向いています。
03プラン別:どこまで使えるかはエディションで変わる
見落としやすいのが、Gemini機能の範囲がプランによって違う点です。特にBusiness Starterと、Business Standard以上とでは、使えるアプリの範囲がはっきり分かれます。
| 機能 | Business Starter | Business Standard以上 |
|---|---|---|
| Gmailの作成支援・要約・校正 | ○ | ○ |
| Geminiアプリ(チャット) | ○(限定) | ○ |
| ドキュメントのGemini | × | ○ |
| スプレッドシートのGemini | × | ○ |
| スライドのGemini | × | ○ |
| Meetの自動メモ生成 | × | ○ |
| ドライブのファイル要約 | × | ○ |
つまりBusiness Starterで使えるGeminiは、Gmailを中心とした範囲とGeminiアプリ(限定)が中心です。ドキュメント・スプレッドシート・スライド・Meet・ドライブといった各アプリの中でGeminiを使いたい場合は、Business Standard以上が必要になります。
プラン選びの考え方
年間プランの月額は、Business Starterが800円、Business Standardが1,600円、Business Plusが2,500円(1ユーザーあたり)です。会議の議事録自動作成や各アプリでのAI活用まで踏み込むなら、差額の月800円でStandardにする価値は高いと言えます。プランごとの機能差全体は料金プラン比較の記事で解説しています。
04管理者向け:Geminiを有効にする設定場所
「対応プランのはずなのにGeminiが出てこない」という場合は、管理者側の設定を確認します。管理コンソール(admin.google.com)の「生成 AI」→「Gemini for Workspace」で、Gmail・ドキュメント・スプレッドシートなどアプリごとにGemini機能のオン/オフを設定できます(Geminiの設定に関する管理者権限が必要で、通常は特権管理者が対象です)。初期設定はオンです。
- アプリ単位・部署単位で出し分けられる — 全社一律ではなく、特定の部署や特定のアプリだけ有効にする、といった制御ができます
- まずは全社オンで小さく試す — 初期設定がオンなので、多くの場合は特別な作業なしに使い始められます。むしろ「使われていないだけ」のことが多く、周知と使い方の共有が本質です
05使う前に決めておきたい社内ルール
Geminiは便利ですが、生成物をそのまま使うと事故のもとになります。次の3点をルールとして決めておくと安全に定着します。
- 出力は必ず人が確認する — AIの要約や文章には、事実の取り違えや不正確な表現が混じることがあります。特に社外に出す文書や数字は、担当者が確認・修正してから使います
- 会社のアカウントで使う — 個人の無料AIに会社の情報を入れると、データ保護も会社の管理も及びません。Workspaceのアカウントで使うことを標準にします
- 機密情報の扱いを線引きする — 顧客から預かった情報や個人情報の塊は、AIに渡す前に自社の秘密管理のルールに沿って線を引きます
この「ツールの前にルール」という順序は、生成AIの社内導入全般に共通します。全社のAI利用ルールをこれから作るなら、会社への生成AI導入の記事もあわせてご覧ください。
06まとめ
- Geminiは2025年1月にGoogle WorkspaceのBusiness / Enterprise各プランへ標準搭載された。対応プランなら追加費用なしで使える
- Gmail・ドキュメント・スプレッドシート・スライド・Meet・ドライブなど、普段のアプリの中でAIアシスタントとして使えるのが要点
- 使える範囲はプランで異なる。Gmail中心のGeminiはStarterでも使えるが、各アプリのGeminiやMeetの自動メモ生成はBusiness Standard以上
- 有効化は管理コンソールの「生成 AI」→「Gemini for Workspace」から。初期設定はオンで、多くは周知と使い方の共有が課題
- Workspaceで使うGeminiは学習にデータが使われないとGoogleが公式に説明。その上で「出力は人が確認」「会社アカウントで使う」「機密の線引き」をルール化する
どのプランで何が使えるのかの棚卸しや、Geminiの有効化・活用の定着支援は、Google Workspace導入支援でお手伝いしています。「うちのプランで何ができるのか分からない」という段階からのご相談も歓迎です。
07よくある質問
Q. Geminiを使うのに追加料金はかかりますか?
対応プラン(Business Standard以上など)を契約していれば、追加料金なしで使えます。2025年1月に、以前は有料アドオンだったGemini機能がBusiness / Enterprise各プランへ標準搭載されました。Business Starterでも、Gmailを中心としたGemini機能とGeminiアプリ(限定)は追加費用なしで使えます。
Q. Business StarterでもドキュメントやスプレッドシートでGeminiは使えますか?
使えません。ドキュメント・スプレッドシート・スライド・Meet・ドライブといった各アプリの中でGeminiを使うには、Business Standard以上が必要です。Business StarterのGeminiは、Gmailを中心とした範囲とGeminiアプリ(限定)が中心になります。
Q. 無料のGmailやChatGPTと何が違うのですか?
大きな違いはデータの扱いと連携です。Google Workspaceで使うGeminiは、やり取りが生成AIの学習に使われないとGoogleが公式に説明しており、会社の管理下で使えます。また、Gmailやドキュメントなど普段の業務アプリの中に組み込まれているため、アプリを切り替えずにその場でAIを頼めます。用途によっては汎用AIとの併用も現実的です。
Q. 日本語で使えますか?
主要なアプリのGemini機能は2026年7月時点で日本語で利用できます。ただし新機能は英語が先行し、数か月遅れて日本語に対応することが多いため、最新機能の一部は日本語対応やリージョン展開が段階的な場合があります。
この記事を書いたチーム
合同会社TokyoScaler ビジネス開発部
Google Cloud Partner(Google Workspace正規代理店)として、中小企業・スタートアップのIT環境整備・DX・AI導入を支援するメンバーが、現場の知見をもとに執筆しています。