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AI活用

外注先の生成AI利用|秘密保持契約だけでは足りない4点

開発や制作、事務の一部を外注していて、情報システムの専任担当がいない会社に向けて書いています。外注先が生成AIを使ってよいかは、禁止するか許可するかで決まる話ではありません。決まるのは、資料を渡す前に条件を書き出せているかどうかです。

発注のときに決める4点を挙げたうえで、自社の端末とネットワークで作業してもらう場合と、相手の環境で作業してもらう場合とで何が変わるかを分けて整理します。外注先が個人のアカウントで作業した場合、学習に使われるかどうかも、権利の主張を受けたときに費用を持つ相手がいるかどうかも、発注した側に返ってきます。受託開発とエンジニアの常駐を提供していて、発注側から同じ確認を受ける側でもある立場から書いています。

01決めるのは4点。禁止か許可かではない

外注先から「作業に生成AIを使ってよいですか」と聞かれたとき、はいと答えても、使わないでほしいと答えても、決まることはほとんどありません。相手が何をどこまで入力するのか、どのサービスを、どの契約で使うのか。出てきたものを納品物に入れてよいのか。その先の再委託先はどうなるのか。ここが空いたまま進むと、後から確認する手がかりが残りません。

資料を渡す前に、次の4点を書き出してください。

  1. 01使ってよいAIのサービス名と、契約しているプラン
  2. 02渡した資料のうち、入力してよいものと、入力しないでほしいもの
  3. 03成果物にAIの出力が含まれる場合の扱いと、確認のしかた
  4. 04再委託する場合に、同じ条件をどう伝えるか

4点とも、契約書を作り直さなくても決められます。発注のときに文章で伝えて、相手の返事を残しておけば足ります。

発注側に近い発注側から遠い
1自社の情報と資料
何を渡すかを先に決める
2発注の条件
使ってよいAI、入力してよい情報、成果物の扱い
3外注先の担当者
自社の環境か、相手の環境かで扱いが変わる
作業する場所自社ならアカウント相手なら契約を確認
4AIサービス
個人の契約か会社の契約かで既定が違う
5再委託先
申告してもらわないと分からない
条件がない経路
  • 渡す(下向き)
  • 成果物(上向き)
渡した情報がどこまで届くか発注側から直接見えるのは1つ下までで、その先に届くかは条件を伝えたかどうかで決まります

02秘密保持契約を結んでいても、決まっていないこと

秘密保持契約があるから大丈夫、という判断はよく聞きます。ただ、多くの契約書に入っている「第三者に開示しない」という条項が、生成AIへの入力を含むかどうかは、その契約書の書き方しだいです。相手が、AIサービスへの入力は開示に当たらないと読んでいることもあるためです。

もう一つ、相手を縛るだけでは片付かない問題があります。自社の情報が不正競争防止法の営業秘密として守られるかどうかは、自社が秘密として管理していたかで決まります。経済産業省の営業秘密管理指針は、令和7年3月の改訂で生成AIに触れました。まず、秘密として管理している情報を生成AIに使い、それが社内で出てきたとしても、そのこと自体で秘密管理性が否定されることはないとしています。そこに、次の注記が付いています。

ただし、当該企業にとどまらず、当該情報αが当該企業以外の第三者(例えば、生成 AI 提供事業者等)に提供される場合は、秘密管理性が否定される場合もあり得る。
経済産業省「営業秘密管理指針」(令和7年3月31日最終改訂)脚注242026年8月確認

外注先が自分の判断で、個人の無料アカウントで資料をそのまま添付した結果、揺らぐのは相手の権利ではなく自社の情報が守られるかどうかです。同じ指針には、もう一段の注意も書かれています。特段の事情がないのに、秘密として管理する意思を示さないまま別の法人に情報を渡している。その状態を自社の社員が知っている場合、社員の認識可能性が揺らぐ結果として、自社の中での秘密管理性が否定されることがありうる、とされています。

渡す資料に個人データが含まれるなら、話は契約の解釈にとどまりません。個人情報保護法は、取扱いを委託する場合に、委託先への必要かつ適切な監督を発注側に求めています(第25条)。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、この監督として委託先の選定、契約の締結、取扱状況の把握の3つを挙げています。3つとも講じなければならないとされたうえで、中身の書き方は揃っていません。選定については、自社に求められるものと同等の安全管理措置が確実に実施されることを、あらかじめ確認しなければならないとされています。あとの2つは、望ましいという書き方です。

外注先がどのAIをどう使うかは、この確認の一部として聞けます。個人情報保護法がAIの利用を名指しで監督の対象と定めているわけではありませんが、個人情報保護委員会は生成AIサービスの利用について別に注意喚起を出しています。あらかじめ本人の同意を得ることなく、個人データを含む指示文を入力する。その個人データが、応答を返す以外の目的で扱われる。この場合は法の規定に違反することとなる可能性がある、と述べています。そのうえで、こう続けています。

そのため、このようなプロンプトの入力を行う場合には、当該生成 AI サービスを提供する事業者が、当該個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること。
個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(令和5年6月2日)2026年8月確認

確認する相手が自社の社員から外注先に変わるだけで、確認する中身は変わりません。よくある条項の並びで整理すると、こうなります。

秘密保持契約で決まること条項があっても決まらないこと
秘密情報を第三者に開示しないこと生成AIへの入力が開示に当たるかの解釈
情報を目的の範囲を超えて使わないこと使ってよいサービスと、そのプラン
契約が終わったら返却または廃棄することAIサービス側に残ったものをどうするか
違反した場合の責任成果物にAIの出力が含まれる場合の権利と検収

03自社の環境か相手の環境かで、決めることが変わる

同じ外注でも、自社に来て作業してもらう場合と、相手の環境で作業して成果物だけを受け取る場合とでは、決めることが違います。経済産業省の秘密情報の保護ハンドブックは、この2つを別々に扱っています。

自社内で業務を行う委託先従業員等については、(1)従業員等に向けた対策の対象となります。
経済産業省「秘密情報の保護ハンドブック」(令和6年2月最終改訂)第3章3-4(3)取引先に向けた対策の注記2026年8月確認

同じハンドブックは従業員等を、役員や派遣労働者、委託先従業員、実習生などであって自社内において勤務する者を含む、と説明しています。常駐で来てもらっている人は、社外の取引先ではなく、自社の社員と同じ枠で考える相手です。

この分け方は実務にそのまま効きます。自社の環境で作業してもらうなら、自社が契約しているAIのアカウントを渡すのが早い解決です。相手が自分のアカウントを使う理由がなくなり、何を入力したかも自社の管理下に残ります。相手の環境では同じ手が使えません。どのサービスをどの契約で使っているかを聞いて、記録に残すことになります。

自社の環境で作業(常駐など)

  • 自社が契約しているアカウントを渡す
  • 社内ルールをそのまま読んでもらう
  • 入力してよい情報は社内と同じ基準
  • 管理画面と設定で確認できる
  • 終わったらアカウントを止める

相手の環境で作業

  • 相手の契約とプランを確認する
  • 発注の条件として文章で伝える
  • 入力してよい範囲を渡した資料ごとに指定
  • 申告してもらう形で確認する
  • 終わったら返却と削除を確認する
どちらの環境で作業するかで、手当ての場所が変わる自社の環境ならアカウントを渡して自社側で握り、相手の環境なら契約を確認して記録に残します

ハンドブックの切り分けは、自社内で勤務しているかどうかで引かれています。ただ、AIの管理に落とすときは、場所よりも端末とネットワークがどちらのものかで見るほうが実務に合うと考えています。自社が貸した端末とネットワークで、相手の自宅から入ってもらう形もあります。逆に、自社のオフィスに来てもらっても、私物の端末で作業するなら、何を入力したかは自社から見えません。リモートかどうかも、準委任か請負かという契約の形も、この分かれ目とは別です。契約の形そのものについては開発リソース不足の解消方法に整理しました。

04使ってよいAIは、サービス名とプランまで書く

学習に使われないサービスにしてください、という伝え方では足りません。同じサービスでも、契約しているプランで既定が変わるためです。

分かれ目は、有料かどうかではなく個人の契約か、会社の契約かです。ChatGPT の Plus も Pro も、Claude の Max も、GitHub Copilot の Pro+ も、有料ですが個人の契約にあたります。

サービス個人で契約するプラン会社で契約するプラン
ChatGPT既定で学習に使われる。設定で外せる使われない
Claude規約は、設定で外さないかぎり使うという書き方使われない
Gemini18歳以上は既定で学習に使われる。人によるレビューの対象になることがあるGoogle Workspace では、許可しない限り学習に使われない
Microsoft Copilot2026年8月18日にアプリが切り替わり、公式の記載が分かれている使われない
GitHub Copilot2026年4月24日以降、学習に使われる。設定で外せる使われない

この表を確認した場所

各社の公式ドキュメントで2026年8月に確認しました。OpenAIAnthropicGoogle(個人)Google WorkspaceMicrosoft(個人)Microsoft 365 CopilotGitHub。この欄は過去1年でも動いています。契約する前に、各社の記載を見てください。

Claude は、同じ提供元の中で書き方が割れています。利用規約とプライバシーポリシーは、設定で外さないかぎり学習に使うという書き方です。一方で、ヘルプの記事は、利用者が許可した場合に使うという書き方になっています。外注先に確認するなら、どちらの記載を見たかではなく、設定画面がどうなっているかを見せてもらうほうが早く済みます。

一度AIモデル(学習済みモデル)に取り込まれた情報の除去は一般的には困難であり、事後的な是正措置を講じることも難しい。
経済産業省「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」(令和7年2月)2026年8月確認

入ってしまったものは戻せません。だから、入る前に決めるほうへ手間を寄せたほうが安く済みます。

権利の主張を受けたとき、費用を持つ相手がいるか

プランの違いは、学習に使われるかどうかだけではありません。生成したものについて第三者から権利の主張を受けたとき、費用を持つと約束しているベンダーがいるかどうかも、契約したプランで変わります。

主要なベンダーの補償は、有償の法人契約に紐づいています。個人向けの規約には、ベンダーから利用者への補償の定めが置かれていません。規約によっては、逆に利用者がベンダーを免責する義務のほうが置かれています。外注先が自分の個人アカウントで作業した場合、権利の主張を受けたときに費用を持つ相手は、どこにもいないことになります

外注先が会社として契約しているプランを使っている場合も、補償を受けられるのは契約した当事者、つまり外注先です。発注した側が自動的に対象になるとは、各社の条文からは読み取れません。発注側が守られるかどうかは、ベンダーの規約ではなく、外注先との契約に何を書いたかで決まります。

05AIの出力が入った成果物を、検収でどう見るか

AIを使ったかどうかを納品時に申告してもらう。これを発注の条件に入れておかないと、検収では気づけません。出力に手を入れて納品されたものを、見ただけで判別する方法はありません。

譲り受ける権利が発生しているか

AIの出力そのものに著作権が発生するとは限りません。文化審議会著作権分科会の法制度小委員会がまとめた考え方は、指示の具体性との関係をこう整理しています。

生成 AI に対する指示が表現に至らないアイデアにとどまるような場合には、当該 AI 生成物に著作物性は認められないと考えられる。
文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日)2026年8月確認

一律に発生しないという整理ではありません。人が創作的表現といえる加筆・修正を加えた部分には、通常認められるとも書かれています。ただし、それ以外の部分の著作物性には影響しないとも書かれています。発注側から見ると、著作権を譲り受ける条項を置いていても、譲り受けるものが発生していない部分がありうることになります。この考え方は、譲渡の条項について何かを述べているわけではありません。契約で埋めるなら、譲渡に加えて、AIの出力を含む成果物を目的の範囲で使えるようにしておく形になります。

他人の権利を侵害していないか

同じ考え方は、依拠性についても整理しています。利用者が既存の著作物の表現内容を認識していて、その著作物の創作的表現を有するものを生成させた場合。ここでは依拠性が認められ、著作権侵害が成立するとされています。認識していたと認められる例として、既存の著作物そのものを入力する場合と、作品の題号のような特定の固有名詞を入力する場合が挙げられています。外注先に伝える条件としては、ここが最も具体的に書ける部分です。

文化庁著作権課のチェックリストとガイダンスは、生成に使った指示文などを確認できる状態にしておくよう努めることが望まれる、としています。納品時に何を出してもらうかの目安になります。

  • AIを使った工程と、使ったサービス名・プランを納品時に知らせてもらう
  • 他社の作品名や作品そのものを指示文に入れていないことを確認する
  • 生成に使った指示文を残しておいてもらう
  • 納品物のうち、出力をほぼそのまま使った部分がどこかを聞く

申告したことで支払いや今後の依頼で不利に扱わない、と先に伝えておいてください。隠されるほうが困ります。

06再委託先まで届いているかを、どう確かめるか

外注先がさらに別の会社や個人に頼んでいる場合、発注の条件がそこまで届いているかは、発注側からは見えません。

個人データを渡している場合、ここは監督の一部として扱われます。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、確かめ方と、確かめる中身を分けて書いています。確かめ方は2つ。再委託する相手方と業務内容と取扱方法について事前に報告を受けるか承認すること、そして委託先を通じてか自分で定期的に監査することです。確かめる中身も2つあります。委託先が再委託先を適切に監督していることと、再委託先が安全管理措置を講じていることです。いずれも望ましい、という書き方になっています。再々委託以降も同じです。

同じガイドラインには、監督を行っていない事例として、再委託の条件を指示せず取扱状況の確認も怠った結果、再委託先が漏えいした場合が挙がっています。ここで効いてくるのは、その場合に元の委託元による法違反と判断され得ると書かれている点です。外注先の管理の話に見えて、責任は発注側に残ります。

申告してもらう項目を先に決めておくのが早いです。

  • 再委託する先の名前と、任せる作業の範囲
  • 再委託先が使うAIのサービスとプラン
  • 同じ条件を再委託先に伝えたかどうか
  • 途中で変わったときに知らせてもらう約束

07発注のときに送る確認文

ここまでの4点は、1通のメッセージで伝えられます。契約書を作り直す必要はありません。

発注時に外注先へ送る確認文
本件の作業で生成AIをお使いになる場合について、着手前に次の4点をご確認ください。

1. 使用するAIのサービス名と、契約しているプラン
   会社として契約されているプランをお使いください。個人のアカウントで作業される
   場合は、事前にご相談ください。

2. お渡しする資料のうち、AIに入力してよい範囲
   (入力してよいもの、入力しないでほしいものを、資料の名前で具体的に書く)

3. 成果物にAIの出力が含まれる場合
   使用した工程と、使用したサービス名・プランを納品時にお知らせください。
   他社の作品名や作品そのものを指示文に入れないでください。
   生成に使用した指示文は、納品後(保管する期間)は残しておいてください。

4. 再委託される場合
   再委託先にも同じ条件をお伝えください。再委託先が使用するサービスとプランも、
   あわせてお知らせください。

お知らせいただいた内容によって、お支払いや今後のご依頼で不利に扱うことは
ありません。

1と3を先に書いておくのが要点です。プランの指定がないと、相手は普段使っているアカウントを開きます。申告の依頼がないと、納品物からは分かりません。指示文を残してもらう期間は、自社の検収と保管の期間に合わせてください。

すでに始まっている取引に後から条件を足す場合は、費用の扱いを先に決めてください。相手が、従業員を使用しない個人の場合と、代表者以外に役員がなく従業員を使用しない法人の場合は、フリーランス法の対象になります。正式には特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律といい、2024年11月1日に施行されました。

同法が求めているのは、業務委託をしたら直ちに、給付の内容などを書面か電磁的方法で明示することです。明示する項目には、報酬の額や支払期日も入ります。公正取引委員会と厚生労働省の「考え方」によれば、給付の内容には品目、品種、数量、規格、仕様等を明確に記載する必要があります。

1か月以上の業務委託については、後から基準を厳しくすることにも触れられています。同じ「考え方」は、業務委託のあとに検査基準を恣意的に厳しくすることを、認められない例として繰り返し挙げています。受け取りを拒む場面では、従来の検査基準であれば合格とされたものを不合格とする場合。給付の内容を変えさせる場面では、給付の内容が委託内容と適合しないとする場合です。AIの利用を後から禁じて、そのためにやり直してもらうなら、費用は発注側が持つと考えておくほうが無難です。

AIを使ってよいかどうかが給付の内容に含まれるかについて、公的な解釈は確認できていません(2026年8月時点)。次の発注から条件を書いておけば、この論点そのものが起きません。

当社は受託開発とエンジニアの常駐を提供していて、発注側から同じ確認を受ける側でもあります。着手前にこの4点を決めるようにしていて、使わないことを求められる案件もあれば、使ってよいかわりに納品前の確認を厚くする案件もあります。決まらないまま始まるのが、双方にとって最も面倒です。

08禁止したときに、発注側が何を負うか

使わせないという判断は取れます。ただ、無料で取れる選択肢ではありません。

取る手使ったかどうかの見えかた発注側の手間費用と納期
禁止する守られているかは分からない確認の手間が発注側に戻るAIを前提に見積もっている相手では上がることがある
条件を付けて許可する申告で分かる条件を書く手間が最初に1回変わりにくい
自社のアカウントを渡す管理画面で分かるアカウントの発行と停止席の分だけ増える

禁止が効きにくいのは、守られているかを確かめる方法がないからです。相手の端末で何を開いたかは見えません。結果として、使っているかもしれないという前提で成果物を見ることになり、確認の手間は発注側に残ります。

3つ目は、自社の環境で作業してもらうときに取りやすい手です。自社が契約しているプランのアカウントを渡せば、学習に使われるかどうかも、権利の主張を受けたときに費用を持つ相手も、自社の契約の側に寄ります。席の費用はかかりますが、確認の手間と引き換えになります。

渡す側の負担もあります。契約が終わったときにアカウントを止める作業が要りますし、止め忘れると、退いた人が自社の契約で使い続けられる状態が残ります。入社・退社のIT手続きと同じ台帳で管理しておくと、止め忘れが減ります。

09手を掛けなくてよい発注もある

すべての外注先に同じことをする必要はありません。渡す情報と、成果物の使いみちで決まります。

こういう発注どこまで決めるか
公開済みの情報しか渡さず、成果物も社内で使うだけ通常の検収で足ります。AIの利用を条件にしなくても構いません
社外に出さない資料を渡すが、個人データや営業秘密は含まない使ってよいAIとプランだけ指定します
個人データ、または営業秘密にあたる情報を渡す4点すべてを決めます。再委託の申告も求めます
成果物を社外に公開する、または販売する4点に加えて、出力を使った部分と指示文の申告を求めます

迷うのは真ん中の2つです。判断がつかないときは、その資料が外に出たときに誰へ説明することになるかを考えてください。説明する相手がいるなら、条件を書いたほうが早く済みます。

10まとめ

  • 決めるのは4点。使ってよいAIとプラン、入力してよい情報、成果物の扱い、再委託の伝え方
  • 秘密保持契約の第三者開示の条項が、生成AIへの入力を含むかは書き方による
  • 外注先が個人アカウントで使った結果は、自社の情報が守られるかに返ってくる
  • 自社の端末とネットワークで作業してもらうならアカウントを渡す。相手の環境なら契約とプランを聞いて記録に残す
  • 分かれ目は有料かどうかではなく、個人の契約か会社の契約か
  • 補償の相手方は契約の当事者。個人プランには、そもそも補償の定めがない
  • AIを使ったかどうかは、納品時の申告を発注の条件にしないと検収で気づけない
  • 後から条件を厳しくしてやり直してもらうなら、費用は発注側が持つと考えておく
  • 公開情報しか渡さず社内で使うだけなら、通常の検収で足りる

自社の社員向けのルールをまだ決めていない場合は、生成AIの社内ルールを先に読んでください。外注先の条件は、社内で決めた線引きをそのまま外へ伝える形になります。外注先そのものの選び方はシステム開発の外注先の選び方に整理しました。渡す資料の範囲を一緒に切り分けてほしい場合は、お問い合わせからご相談ください。

11よくある質問

Q. 秘密保持契約書に、生成AIのことを書けますか

書けます。よくあるのは、秘密情報をAIサービスに入力する場合は事前に書面で承諾を得る、という形です。ただ、契約書を結び直すには相手の同意と時間が要ります。すでに秘密保持契約がある相手なら、発注のときに条件を文章で伝えて返事を残すほうが早く、実務上の効き目もそれほど変わりません。条文に入れるのは、次の更新のときで構いません。

Q. 生成AIの成果物に著作権はかかりますか

一律にかかる、かからない、のどちらでもありません。文化審議会著作権分科会の法制度小委員会の考え方は、AIへの指示が表現に至らないアイデアにとどまる場合、著作物性は認められないとしています。一方で、人が創作的表現といえる加筆・修正を加えた部分には通常認められるとされています。それ以外の部分には影響しません。発注側としては、著作権の譲渡だけに頼らず、成果物を目的の範囲で使えるようにしておく書き方が無難です。

Q. AIを使わないでほしいと伝えると、外注先にどんな影響がありますか

作業時間が延びる分の見積が上がることがあります。加えて、守られているかを発注側から確かめる方法がないため、確認の手間は発注側に残ります。すでに始まっている取引で後から禁じ、やり直しが出た場合の費用は、発注側が負う前提で見ておいてください。禁じるより、会社として契約しているプランを使ってもらうほうが、費用も確認の手間も収まりやすくなります。

Q. 再委託にあたらないケースはありますか

何を再委託とみなすかは契約の書き方で決まります。生成AIサービスの利用を名指しした公的な解釈は確認できていません(2026年8月時点)。近いものとして、個人情報保護委員会のガイドラインのQ&Aが、クラウドサービスについて基準を示しています。第三者への提供や委託に当たるかは、そのサービスを提供する事業者が個人データを取り扱うこととなっているかで決まる、というものです。揉めにくいのは、AIサービスの利用は再委託として扱わないが、使うサービスとプランは申告してもらう、と発注のときに決めておくやり方です。人に頼む場合は、相手の名前と作業の範囲まで申告してもらってください。

TokyoScaler

この記事を書いたチーム

合同会社TokyoScaler ビジネス開発部

Google Cloud Partner(Google Workspace正規代理店)として、中小企業・スタートアップのIT環境整備・DX・AI導入を支援するメンバーが、現場の知見をもとに執筆しています。

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